すべての猫がお家猫になるまで
多くの人は「野良猫は野生の猫」だと思っていますが、実は、ほとんどの猫は「イエネコ(家猫)」です。
日本にいつ猫が住むようになったのかは、歴史的にははっきりとはしませんが、文献によると仏教の伝来とともに中国から入って来たのではないか、と言われています。また遺跡では弥生時代の遺骨に猫らしき骨が見つかっています。このように時期的に幅が広くはっきりとはしません。
しかし、現在日本にいる猫に関しては、人間と共に共生してきたイエネコという種類と、野生の猫では「イリオモテヤマネコ」と「ツシマヤマネコ」のみとされています。
つまり、野良猫といわれる外で暮らす猫も元をただせば人間と一緒に暮らしていたイエネコです。本来は人間とともに暮らさないと生きていけません。そして人間はねずみから食物を守ってくれる猫を重宝して共存してきました。
しかし人が飼うことを放棄し、外に遺棄してしまった猫の子孫が野良猫になっています。
私たちはすべての猫を本来の人間と共生する猫、お家猫にしていきたいと考えています。
外で暮らす猫さんが自由にのんびりと生きている。というのは大きな間違いです。確かに自由であるかもしれませんがその分、大きなリスクがあります。
冬の寒い時も夏の暑い時、雨が降っても雪が降っても、屋根のないところで暮らしている子たちは我慢しなくてはなりません。ずぶ濡れになっている猫を見かけることもあります。
ご飯もいつも貰えるとは限りません。彼らは野生ではないので捕食することは本来の生き方ではありません。いつもお腹を空かせていると思って違いありません。
喉が渇いてお水を飲むのも、水溜まりしかありません。もしそこにたばこの吸い殻が落ちていたら命に関わります。
間違って道路に出てしまったら、車に轢かれる危険性もあります。こっちおいで言ってくる人間がすべていい人とは限りません。虐待されたり、殺されることもあります。
お家で暮らす猫さんの平均寿命は10年以上ですが、外の猫たちは3年から5年と言われています。
外で暮らす猫さんを増やさないために、TNR活動を行います。
外で暮らす猫ちゃんは人間にとってどのような問題があるのでしょうか?
糞尿の問題…外の猫たちにはトイレはありません。自分たちが決めた場所が決して人間にとっていい場所とは限りません。
夜鳴きの問題…発情期の外猫ちゃんは大きな声で鳴きます。しかしそれは決して嫌がらせではなく自然の摂理です。
繁殖能力の問題…猫の繁殖能力はすごく一度に5匹前後産むことになります。また1年間に2~3度妊娠することが可能です。
好き嫌いの問題…すべての人が猫を可愛いと思うわけではありません。
これらの問題を解決するために何をすればいいのか?
「餌を与えないでください」という立て看板や標語を見かけることがありますが本当にそうでしょうか?正確には「『無責任に』餌を与えないでください」が正しいのではないでしょうか。
餌を入れた容器をそのまま放置しておく。腐ってにおいがする。カラスやそのほかの動物が寄ってくる。などの問題が起こります。だから無責任な餌やりは慎んでください。
餌をあげる時は必ず「食べ終わるまで見届け、食べ終わったら後片付けをする」ようにしましょう。
また、餌をあげる目的をはっきりと持ってください。
・自分が保護して飼う。
・保護して不妊去勢手術をして地域ねことして面倒をみる。
・自分が保護して里親さんを募集する。
いのちの重みを考えて行動しましょう。
命をお金で買うということは、ぬいぐるみのおもちゃを手に入れること変わりません。命を救うという選択をしましょう。全国には野良猫を保護して譲渡する団体はたくさんあります。ぜひ保護猫ちゃんを迎えましょう。
保護猫だから劣っているとか、汚いとか、病気があるとか、そういうことは一切ありません。保護した後は病院で検査をしてワクチンを接種し、健康状態をチェックします。当団体はシェルターでの預かりではなく、登録ボランティアの自宅で面倒を見てもらっています。
月1回の譲渡会、そして事前予約をいただければ直接面会も可能です。お気に入りの子がいたら是非会いに来てください。
当団体は、皆様からのご支援で成り立っております。
保護中の子猫やおとな猫の食料、医療等での出費が常にかかっています。
中には難しい病気の子や感染症、交通事故にあった子など様々です。
ご支援により助けられる命は増えます。よろしくお願いします。
NPO法人 ねこのわNara